鼻骨(nasal bone)の特徴と筋付着部
骨の名称
- 和名:鼻骨(びこつ)
- 英名:Nasal bone
- ラテン名:Os nasale
分類
- 扁平骨(顔面骨の一部)
- 左右一対の骨で構成され、顔面の正中線上で接合して鼻根部を形成。
特徴・ランドマーク
- 前頭鼻縫合(frontonasal suture):上方で前頭骨と連結。
- 鼻根(nasal root):眉間(glabella)の直下に位置するくぼみ。
- 鼻背(nasal dorsum):鼻の上面を形成し、軟骨性鼻背へと続く。
構成関節
筋付着
神経支配(関連)
- 三叉神経第1枝(眼神経, CN V₁)の枝である外鼻神経(external nasal nerve)が皮膚感覚を支配。
- 鼻根部周囲は滑車上神経(supratrochlear nerve)・眼窩下神経(infraorbital nerve)とも交通。
- 表情筋の運動は顔面神経(CN VII)の枝による。
血管との関係
- 顔面動脈の枝:上唇動脈・鼻背動脈(dorsal nasal artery)。
- 眼動脈(ophthalmic artery)からの枝が鼻根部に分布。
- 静脈は顔面静脈および眼静脈を介して海綿静脈洞と交通し、感染波及に注意。
臨床的意義
- 鼻骨骨折(nasal bone fracture):
- 顔面骨折の中で最も頻度が高い。
- 外傷により陥没・偏位・鼻出血・鼻閉を伴う。
- 重症例では篩骨篩板損傷による髄液漏(CSF rhinorrhea)も起こりうる。
- 美容・形成外科的意義:
- 鼻背・鼻根の高さや形態は顔貌の印象を大きく左右する。
- 隆鼻術や整復術の際には鼻骨の厚さと接合部を考慮する必要がある。
触診ポイント
- 眉間下から鼻背上部にかけて、骨性の硬い部分が鼻骨。
- その下方の柔軟な部分は鼻軟骨であり、骨との境界が明瞭。
- 外傷時には変形や陥没を確認する重要部位。
東洋医学的関連
- 関連経絡:督脈、足陽明胃経、手太陽小腸経。
- 関連経穴:
- 鼻骨部は呼吸器・嗅覚・自律神経調整に関係し、肺経・督脈の気の流れが反映される部位。
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