三角骨(triquetral bone)の特徴と筋付着部

Triangular bone (left hand) - animation01

骨の名称

  • 和名:三角骨(さんかくこつ)
  • 別名:豆状骨下(三角状骨)
  • 英名:Triquetral bone / Triquetrum
  • ラテン名:Os triquetrum

分類

  • 短骨(手根骨)
  • 近位列に属し、尺側(小指側)に位置する。
  • 月状骨・有鉤骨・豆状骨と連結する。

特徴・ランドマーク

  • 背側隆起(dorsal tubercle)
    • 手根骨の中でも比較的明瞭で、背側から触知しやすい。
  • 3つの関節面
    • 月状骨面:三角骨の前方で月状骨と接する。
    • 有鉤骨面:遠位で有鉤骨と関節。
    • 豆状骨面:掌側で豆状骨と接する。
  • 掌側は豆状骨に覆われやや扁平、背側は隆起している。

構成関節

  • 三角骨‐月状骨関節(lunotriquetral joint)
  • 三角骨‐有鉤骨関節(triquetrohamate joint)
  • 三角骨‐豆状骨関節(pisotriquetral joint)(豆状骨は種子骨だが、機能的に関節を形成)

筋付着

  • 三角骨自体に筋の付着はない
  • ただし、豆状骨に停止する筋(尺側手根屈筋)は、機能的に三角骨に影響を与える。

靭帯付着

  • 月状三角靭帯(lunotriquetral ligament)
  • 掌側手根靭帯(volar radiocarpal ligament)
  • 背側手根靭帯(dorsal intercarpal ligaments)
  • 豆三角靭帯(pisotriquetral ligament)

神経・血管との関係

  • 周囲を走行する構造:
    • 尺骨神経(Guyon管より近位)
    • 尺骨動脈
    • 手根管の外側には含まれないが、近接している。

臨床的意義

  • 三角骨骨折
    • 手根骨骨折では比較的多く、特に手関節背屈+尺屈で発生。
    • 転倒で手をついた際に受傷しやすい。
  • 月状三角関節不安定症(LT instability)
    • 月状三角靭帯損傷で月状骨が回旋し、手関節痛の原因に。
  • 豆三角関節症(pisotriquetral arthritis)
    • 豆状骨の摩耗により、手根尺側の痛みを生じる。
  • 尺側手根伸筋腱との関係
    • 近傍を通るため、三角骨の変位は腱の滑走に影響。

触診ポイント

  • 手関節を尺屈させると三角骨の背側隆起が明膫に触れる
  • 豆状骨の直下(深部)に存在する。
  • 有鉤骨との位置関係で手根列のアライメントを評価できる。

東洋医学的関連(手根部)

  • 関連経絡:手太陽小腸経、手厥陰心包経、手少陽三焦経
  • 関連経穴(近接部):
    • 陽谷(SI5):尺側の手関節背側、三角骨の近傍。
    • 陽池(TE4):三角骨とは離れるが手関節背側中央で関連症状の鑑別に使用。
  • 手根の痛み・腱鞘炎・神経痛の鑑別で三角骨は重要な骨格指標となる。

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