◆ 概要
上甲状腺動脈(superior thyroid artery)は、 外頸動脈から分岐する頸部の主要動脈の一つであり、 甲状腺上部を中心に喉頭・舌骨周囲・頸部前面の筋群へ血液を供給します。
甲状腺への主要血流の一つであり、 甲状腺機能や喉頭周囲循環に関わる重要な血管です。
◆ 起始
◆ 走行
上甲状腺動脈は外頸動脈から前下方へ走行し、 甲状腺上極へ向かって下降します。
途中で喉頭・舌骨周囲へ枝を送りながら、 最終的に甲状腺上部へ分布します。
◆ 主な分枝
◎ 舌骨下枝(infrahyoid branch)
- 舌骨下筋群へ分布
◎ 胸鎖乳突筋枝
- 胸鎖乳突筋へ血流供給
◎ 上喉頭動脈
- 喉頭へ血流供給
- 内喉頭神経と伴行
◎ 輪状甲状枝
- 輪状甲状膜周囲へ分布
- 対側動脈と吻合することが多い
◎ 腺枝(甲状腺枝)
- 甲状腺上極へ血流供給
◆ 支配領域
甲状腺下部は主に下甲状腺動脈が供給します。
◆ 血管吻合
甲状腺では豊富な吻合が存在します。
- 対側上甲状腺動脈
- 下甲状腺動脈
- 甲状腺最下動脈(存在する場合)
この豊富な血流ネットワークにより、 甲状腺は高い代謝活動を維持しています。
◆ 臨床的関連
◎ 甲状腺手術
甲状腺摘出術では、 上甲状腺動脈の結紮が重要となります。
この際、近接する 上喉頭神経外枝を損傷しないよう注意が必要です。
◎ 甲状腺疾患
- 甲状腺機能亢進症
- 甲状腺腫
- 甲状腺腫瘍
これらの疾患では甲状腺血流が増加することがあります。
◎ 喉頭出血
喉頭外傷や処置時に上喉頭動脈から出血することがあります。
◆ 東洋医学的観点
上甲状腺動脈の分布領域は、 東洋医学では咽喉部に相当します。
咽喉は古典では「肺・胃・腎」との関係が深いとされます。
- 肺:呼吸と声
- 胃:咽喉の通降
- 腎:声帯の基礎エネルギー
また甲状腺機能は、 東洋医学では「気化作用」や「代謝活動」と関連づけて理解されることがあります。
◆ 鍼灸臨床との関連
上甲状腺動脈の血流が関係する可能性のある症状には、 以下のようなものがあります。
- 咽喉痛
- 嗄声(声枯れ)
- 甲状腺腫
- 嚥下違和感
臨床では以下の経穴が用いられることがあります。
これらは咽喉循環や頸部の気血調整を目的として使用されます。
◆ まとめ
- 外頸動脈の最初の主要分枝
- 甲状腺上部へ血流供給
- 喉頭や舌骨周囲にも分枝
- 甲状腺手術で重要な血管
- 咽喉・代謝機能と関連
上甲状腺動脈は、 甲状腺機能と喉頭循環を支える重要な頸部動脈です。

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