◆ 概要
眼動脈(ophthalmic artery)は、内頸動脈から分岐する動脈であり、 眼球および眼窩内構造へ血液を供給する主要な血管です。
視覚機能を維持するための重要な血流供給路であり、 網膜・視神経・眼筋・涙腺などへ枝を送ります。 また顔面動脈系との吻合を持つため、 内頸動脈系と外頸動脈系をつなぐ重要な血行路でもあります。
◆ 起始
- 内頸動脈(海綿静脈洞を出た直後)
- 前床突起付近
◆ 走行
眼動脈は内頸動脈から前方へ分岐し、 視神経管を通って頭蓋内から眼窩へ入ります。
眼窩内では視神経の外側から上方へ回り込み、 その後内側へ向かって走行しながら多数の枝を分岐します。
◆ 主な分枝
◎ 中心網膜動脈(central retinal artery)
- 視神経内を通過
- 網膜内層へ血流供給
- 閉塞すると急性視力障害を起こす
◎ 後毛様体動脈
- 短後毛様体動脈
- 長後毛様体動脈
脈絡膜や虹彩へ血流を供給します。
◎ 涙腺動脈
- 涙腺
- 眼瞼外側部
◎ 眼窩上動脈
- 前頭部
- 頭皮
◎ 篩骨動脈(前・後)
- 篩骨洞
- 鼻腔
- 硬膜
◎ 内側眼瞼動脈
- 上下眼瞼
◎ 鼻背動脈
- 鼻背部
- 顔面動脈の枝と吻合
◆ 支配領域
- 眼球
- 網膜
- 脈絡膜
- 視神経
- 外眼筋
- 涙腺
- 眼瞼
- 前頭部皮膚
◆ 血管吻合
眼動脈は外頸動脈系と複数の吻合を持ちます。
このため顔面からの血流が眼動脈へ逆流することもあります。
◆ 臨床的関連
◎ 中心網膜動脈閉塞
- 突然の視力消失
- 眼科救急
◎ 巨細胞性動脈炎
- 高齢者に多い
- 視力障害を引き起こすことがある
◎ 眼窩疾患
- 眼窩腫瘍
- 眼窩炎症
◆ 東洋医学的観点
眼は東洋医学では「五臓六腑の精が集まるところ」とされ、 特に以下の臓腑と関係します。
- 肝:目に開竅する
- 腎:精が視力の基礎となる
- 心:血が視覚を養う
眼動脈による血流供給は、 これらの「血・精」による栄養作用を 解剖学的に支える基盤と考えることができます。
◆ 鍼灸臨床との関連
眼動脈循環が関係する可能性のある症状には 以下のものがあります。
- 眼精疲労
- 視力低下
- ドライアイ
- 眼瞼痙攣
臨床では以下の経穴が用いられます。
これらは眼周囲循環や自律神経調整を目的として使用されます。
◆ まとめ
眼動脈は、 視覚器全体の循環を担う中心的動脈です。

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