◆ 基本概要
胸部大動脈(thoracic aorta)は、大動脈弓に続く下行大動脈の胸腔内部分であり、 胸壁・脊柱・縦隔・食道などへ血液を供給する主要動脈です。 体幹後面および胸郭内臓器の循環を担う中枢的血管構造です。
◆ 位置と範囲
胸部大動脈は第4胸椎付近で大動脈弓から連続し、 第12胸椎レベルで横隔膜の大動脈裂孔を通過して腹部大動脈へ移行します。 脊柱前面やや左側を下行するのが特徴です。
◆ 主な分枝
【壁側枝】
- 後肋間動脈(第3〜第11肋間)
- 肋下動脈
- 上横隔動脈
【臓側枝】
- 気管支動脈
- 食道動脈
- 縦隔枝
- 心膜枝
◆ 支配領域(灌流領域)
胸部大動脈は、胸壁、脊髄、食道、気管支、肺の一部、 縦隔組織、横隔膜上部を灌流します。 特に後肋間動脈を介して脊髄への血流供給にも関与します。
◆ 触診・体表解剖の要点
胸部大動脈は深部構造であり体表から触知できません。 ただし、胸椎前面左側を走行する解剖的位置関係は、 胸背部症状や体幹治療の理解に重要です。
◆ 臨床的重要性
- 胸部大動脈瘤・解離の好発部位
- 肋間動脈由来の出血源
- 脊髄虚血との関連
- 外傷・高血圧との関連病態
◆ 東洋医学的観点
胸部大動脈の走行は、督脈および足太陽膀胱経の胸椎レベル経穴と深層で対応します。 身柱・至陽・膈兪・心兪など、 胸部循環・自律神経調整に関与する取穴理解において、 深部血管解剖の把握は理論構築の基盤となります。

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