眼窩上動脈(supraorbital artery)まとめ

◆ 基本概要

眼窩上動脈(supraorbital artery)は、眼動脈(ophthalmic artery)の分枝で、 眼窩上縁を越えて前頭部皮膚・頭皮へ血流を供給する表在性動脈です。 眉部〜前頭部の循環、前頭部痛・眼精疲労・緊張型頭痛との関連が深い血管として重要です。


◆ 起始と走行

眼窩上動脈は眼動脈から分岐し、眼窩内を前上方へ走行します。 その後、眼窩上切痕または眼窩上孔を通過して眼窩外へ出現し、 前頭部皮下を上行して頭皮へ広く分布します。 眼窩上神経と併走する点が解剖学的特徴です。


◆ 主な分岐

  • 筋枝(眼瞼挙筋・眼輪筋など)
  • 皮枝(眉部・前頭部皮膚)
  • 頭皮枝(前頭部)

◆ 支配領域(灌流領域)

眼窩上動脈は、上眼瞼、眉毛周囲、前頭部皮膚および前頭部頭皮を灌流します。 浅側頭動脈や滑車上動脈との吻合により、前頭部の血管網を形成します。


◆ 触診ポイント

眉毛上縁の内外側寄り、眼窩上切痕付近で拍動を触知できることがあります。 圧痛の有無や左右差は、前頭部症状の評価に有用です。


◆ 臨床的重要性

  • 前頭部痛・眼精疲労・緊張型頭痛との関連
  • 眉部外傷・裂傷時の出血源
  • 眼窩手術・美容医療での重要血管
  • 眼動脈系循環評価の一指標

◆ 東洋医学的観点

眼窩上動脈の走行域は、足陽明胃経手太陽小腸経の眉部経穴と重なります。 攅竹魚腰陽白など、 眼精疲労や前頭部痛に用いられる取穴周囲の血流理解に重要です。


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