1.筋肉の名称(和名・英名・ラテン語)
- 和名:下後鋸筋(かこうきょきん)
- 英名:Serratus posterior inferior muscle
- ラテン語:Musculus serratus posterior inferior
2.起始・停止
- 起始:
- 第11胸椎〜第2腰椎の棘突起
- 胸腰筋膜(胸背筋膜)
- 停止:
筋束は斜め上外方に走行し、広背筋の深層に位置する。
肋骨を引き下げて呼気を補助する働きをもつ。
3.支配神経
上後鋸筋と同様に、脊髄神経の前枝である肋間神経の支配を受ける。
呼吸運動に関与するため、背筋群でありながら前枝支配の特徴をもつ。
4.作用
- 第9〜第12肋骨を下方に引き下げ、呼気を補助する。
主に強制呼気(深呼吸・咳・発声など)時に働く。
胸郭の下部を固定・安定させる役割もある。
5.関連する経穴
下後鋸筋は足の太陽膀胱経の中下部走行に重なり、
「胆兪」「脾兪」「胃兪」などの経穴と位置的に一致する。
消化器症状や腰背部の冷え・重だるさの治療点としても重要。
6.臨床での関連
- 呼吸時の腰背部痛、特に深呼吸・咳・くしゃみでの痛み
- 慢性咳嗽や喘息に伴う下背部の筋緊張
- 猫背・前屈姿勢による胸郭可動制限
- 広背筋や腰方形筋との筋連鎖による腰痛
下後鋸筋の過緊張は、胸郭下部や腰背部に鈍い痛みを引き起こす。
呼吸が浅い人、デスクワーク姿勢が多い人では慢性的な短縮が見られる。
「脾兪」「胃兪」などへの施術で改善が期待できる。
7.臨床メモ
- 広背筋を剥がすと出てくる薄い扇状の筋。
- 下位肋骨の動きをコントロールするため、強制呼気・発声・排便動作などでも働く。
- 「上後鋸筋」は吸気補助、「下後鋸筋」は呼気補助として対をなす。
- 腰背部の硬さや呼吸運動の浅さがある場合、触診で硬結として感じることがある。
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