概要
滑車神経は脳神経第Ⅳ番にあたる運動神経であり、 眼球運動のうち上斜筋を単独で支配する。 脳神経の中で唯一、脳幹背側から出現し完全交叉するという特徴を持つ。
神経の性質
- 分類:運動神経(体性運動)
- 主な機能:眼球の下転・内旋
- 中枢:中脳(下丘レベル・滑車神経核)
走行
滑車神経は中脳下丘レベルで背側に出現し、 左右の神経線維は直ちに完全交叉する。 その後、脳幹を回り込むように前方へ走行し、海綿静脈洞の外側壁を通過する。
最終的に上眼窩裂を通って眼窩内に入り、 上斜筋を支配する。
支配筋
- 上斜筋
上斜筋の作用
- 眼球の下転(特に内転位で顕著)
- 内旋
機能
- 視線を下方へ向ける動作(階段下降・読書)
- 頭部傾斜時の視線安定
臨床的ポイント
- 滑車神経麻痺:垂直性複視
- 階段昇降や下方注視で症状が増悪
- 代償的に頭部を健側へ傾ける(頭位異常)
関連する血管
- 上小脳動脈
- 後大脳動脈
東洋医学的観点
滑車神経が関与する微細な眼球運動や平衡調節は、 東洋医学では肝および風の概念と関連づけて考えられる。
関連経絡・経穴
臨床では風池(GB20)、太衝(LR3)、 睛明(BL1)などが眼症状や頭位異常に用いられる。
まとめ
滑車神経は単一筋を支配する小さな脳神経であるが、 背側出現・完全交叉という解剖学的に極めて特徴的な構造を持つ。 臨床では垂直性複視や頭位異常として現れやすく、 東洋医学的には肝・風・頸部経絡との関連が重要視される神経である。

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