Ⅵ.外転神経(Abducens nerve)まとめ

概要

外転神経は脳神経第Ⅵ番にあたる運動神経であり、 眼球外転運動を担う外側直筋を単独で支配する。 頭蓋内を長く走行するため、頭蓋内圧変化の影響を受けやすい神経として知られる。


神経の性質

  • 分類:運動神経(体性運動)
  • 主な機能:眼球の外転
  • 中枢:橋(外転神経核)

走行

外転神経は橋延髄境界部の正中付近から前方へ出現する。 その後、斜台を上行し、海綿静脈洞内を走行する。

最終的に上眼窩裂を通って眼窩内に入り、 外側直筋を支配する。


支配筋

  • 外側直筋

外側直筋の作用

  • 眼球の外転

機能

  • 視線を外側へ向ける
  • 左右眼の協調運動の維持

臨床的ポイント

  • 外転神経麻痺:内斜視、水平性複視
  • 健側注視で複視が増悪
  • 頭蓋内圧亢進で早期に障害されやすい
  • 糖尿病・高血圧による虚血性障害

関連する血管

  • 脳底動脈
  • 前下小脳動脈

東洋医学的観点

外転神経の障害は、東洋医学では気血の巡り痰湿の停滞、さらには肝風の影響として捉えられることが多い。

  • 内斜視・複視:肝風内動
  • 眼球運動低下:気虚・血虚
  • 頭重感・めまいを伴う場合:痰湿阻滞

関連経絡・経穴

臨床では風池(GB20)太陽(EX-HN5)太衝(LR3)などが眼球運動障害や頭部症状に用いられる。


まとめ

外転神経は外側直筋を支配する単純な運動神経であるが、 頭蓋内を長く走行するため臨床的に非常に障害されやすい。 眼球運動神経群(Ⅲ・Ⅳ・Ⅵ)の中でも、 頭蓋内圧や全身状態の影響を反映しやすい神経であり、 東洋医学的には気血・痰湿・肝風との関連が重視される。

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