下腹壁動脈(inferior epigastric artery)まとめ

◆ 基本概要

下腹壁動脈(inferior epigastric artery)は、外腸骨動脈から分岐し、腹直筋下部および下腹部腹壁へ血液を供給する重要な動脈です。 上腹壁動脈と吻合して腹壁の縦方向の側副循環を形成し、 体幹安定・腹圧調整・鼠径部解剖の理解に不可欠な血管です。


◆ 起始と走行

下腹壁動脈は、外腸骨動脈から鼠径靱帯直上で分岐します。 起始後、腹膜外を上内側へ走行し、 腹直筋鞘の後葉に入り、腹直筋深層を上行します。 臍のやや上方で上腹壁動脈と吻合し、 腹壁の主要な側副血行路を形成します。


◆ 主な分枝

  • 腹直筋枝
  • 皮枝(下腹部前皮枝)
  • 恥骨枝(閉鎖動脈との吻合)

◆ 支配領域(灌流領域)

下腹壁動脈は、腹直筋下部、腹直筋鞘、 および下腹部皮膚を主に灌流します。 腹圧維持や骨盤・体幹安定に関与する領域です。


◆ 触診・体表解剖の要点

下腹壁動脈の拍動は体表から触知できません。 体表では腹直筋外縁を目安に位置を推定します。 鼠径部・下腹部への刺入や処置時には、 血管損傷を避けるため走行理解が重要です。


◆ 臨床的重要性

  • 腹壁ヘルニア手術時の重要血管
  • 腹腔鏡ポート挿入時の損傷リスク
  • 腹壁血腫・術後出血の原因血管
  • 上腹壁動脈との側副循環評価

◆ 東洋医学的観点

下腹壁動脈の走行域は、任脈および足少陰腎経足太陰脾経の下腹部経穴と重なります。 関元中極気海大巨など、 泌尿生殖・婦人科・消化機能に用いられる取穴理解において、 腹直筋深層の循環把握は臨床的に重要です。


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