概要
嗅神経は脳神経第Ⅰ番にあたる感覚神経であり、嗅覚を司る。 他の脳神経と異なり、脳幹からではなく前脳(終脳)に直接連続する特殊感覚神経である。
神経の性質
- 分類:特殊感覚神経
- 支配感覚:嗅覚
- 中枢:嗅球・嗅索(終脳)
走行
嗅神経は、鼻腔上部の嗅上皮に存在する嗅細胞から始まる。 嗅細胞の軸索は多数集合して嗅糸(olfactory fila)を形成し、 篩骨篩板を貫いて頭蓋内に入り、嗅球に終止する。
嗅球からは嗅索を介して嗅三角、一次嗅覚野(梨状皮質など)へ情報が伝達される。
支配領域
- 鼻腔上部(上鼻甲介、鼻中隔上部)の嗅上皮
機能
- においの感知(嗅覚)
- 食欲・情動・記憶との関連(大脳辺縁系との連絡)
臨床的ポイント
- 嗅覚障害(嗅覚低下・嗅覚脱失)は、頭部外傷や篩骨骨折で起こりやすい
- 嗅神経は再生能力をもつ数少ない中枢系神経
- パーキンソン病やアルツハイマー病の初期症状として嗅覚低下がみられることがある
関連する血管
- 前篩骨動脈
- 後篩骨動脈
東洋医学的観点
嗅覚は東洋医学では主に肺と深い関係を持つとされる。 「肺は鼻に開竅する」とされ、肺気の充実が嗅覚機能を正常に保つと考えられている。
- 嗅覚低下:肺気虚、肺燥、肺寒などが関与
- 鼻閉・嗅覚異常:風邪(ふうじゃ)や痰湿の停滞
関連経絡・経穴
特に迎香(LI20)は鼻症状全般に用いられ、 嗅覚障害・鼻閉・副鼻腔炎に対して臨床上頻用される。
まとめ
嗅神経は嗅覚を担う特殊感覚神経であり、解剖学的にも機能的にも他の脳神経と異なる特徴を持つ。 また、情動や記憶との関連が深く、東洋医学的にも「肺」との結びつきが強い神経である。

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